私は日系の大手事業会社からベンチャー企業へ転職しています。
社会人4年目で20代中盤のころですね。(つい最近です。)
名のある高校→名のある大学→名のある会社と日本で良しとされる人生のレールに乗って歩みを進めてきた私にとって、ベンチャー企業へ転職することは一大決心でした。
もちろん適当な気持ちではなく、しっかりと覚悟を持って飛び込んだ環境です。
レールを外れる怖さにも半年近く悩み、家族の説得にも苦労し、簡単には引き返せないと気を引き締めて挑みました。
そんな覚悟を持って入社したベンチャー企業ですが、私は1年勤めた時点で退職しています。
最近、ベンチャー企業が持てはやされ、優秀層がベンチャー企業に流れて行っていると聞きます。
メディアではベンチャー企業を持ち上げるような話題も多くあります。
しかし、現在レールを外れて大手企業からベンチャーに行こうか悩んでいる人には安易にベンチャー企業に行ってほしくないと思っています。(変な煽りにのって安易に転職せずにしっかりと情報を集めてほしい!!)
名のある大学に行って、名のある企業に入った人で、現在ベンチャー企業に転職するか悩んでいる人にとっては、同じような経験をした人のリアルな声の方が役にたつでしょう。
今回はベンチャー企業に転職しようと考えている方の参考になるように、私がなぜベンチャー企業に転職し、なぜ1年で退職してしまったのかについてお伝えしたいと思います。
ちなみに私はベンチャーへの転職そのものは肯定派です。(笑)
ただ事前に色んな観点で考えておいてほしいといった意図で今回の記事を作成します。
3回連載の記事になるので、気長に読んでください。
第1回の今回は大手企業を辞めた理由です。
Contents
大手企業での立場を捨てようと思った理由
配属先には満足していた
私は新卒で大手企業に入社しています。
私の入社した会社では、新卒社員は総合職として採用され、研修の後それぞれの職種が決まり配属先が決定するという環境でした。
研修を終え、私が配属されたのは事業企画の部門。
いつかは企画部門に!!と思っていた私にとって非常に魅力的なポジションでした。
会社の中でも結構な出世ルートだったと思います。
最初はとてもやりがいのある仕事だと思っていました。
自分が学生時代から思い描いていた仕事ができているという満足感もありました。
ある時から葛藤が生まれた-直接顧客の声を聞けるポジションで現場経験をつみたい
しかし、しばらくするとある葛藤が心を占領していきます。
「私の担当している製品は本当に世の中に求められているのだろうか。。。」
私がしていた仕事は上司の頭の中にある製品を企画書に落とし、他部署や協業企業を巻き込むためのデータを集め、事業計画に落とし込むといったものです。
さまざまな媒体やチャネルを使って市場調査をするものの、残念ながら顧客の声を直接聞くという機会はほとんどありません。
顧客の声の収集は現場の営業担当の方から又聞きする程度。
部署の都合上、現場にはほとんど出してもらえない、上司も敢えて現場とは距離をとるといったスタンスでした。(現場の声に引っ張られ過ぎて失敗した経験があるらしい)
しかし、現場経験のない私からすると、マーケット感覚がまったく分かりません。
顧客が価格に対してどれだけ敏感なのか、どのような課題感を持っているのかといったことも営業からの又聞きに頼るしかありません。
しかも又聞きしたとしても、実際の現場を見たこともない私はなんとなくの想像をするしかない状況。
新製品の開発に向け周囲を説得し、各部門を巻き込もうにも、会議の度に問われる「それは市場に求められているのか?」という質問に本当に自信を持って回答することはできませんでした。
「現場を動かすのってそんなに簡単じゃないよ?分かってる?」こんなことを周囲の人から言われると私の頭の中には「んなもん分かんねぇよ!!やったことねぇもん!!経験値の差で丸め込まれたら勝ち目ないじゃんか!!」というマイナス感情が溢れてきました。
こんなことを繰り返しているうちに、「周囲の人を説得できるだけの現場経験と実績がほしい。顧客の声だって市況感だって、俺が全部経験してれば自信を持って語れるのに」と考えることが多くなっていました。
自分のアイディアをマーケットにぶつけたかった
また、仕事をすすめていくうちに、自分ならもっとうまくできるのに!!という思いも強くなってきました。
詳細は書くことが難しいのですが、上司が協業企業と交渉をしているのを見たり、事業企画や製品の成長戦略などを描くのを見て、疑問に思うことも多くなってきました。
仕事が分かるようになるにつれ「相手の言いたいこと勘違いしてない?」「この施策、この戦略の方が良さそうじゃない?」と感じることが増えてくるのです。
ある程度仕事をしていると上司との信頼関係もできているので上司に直接伝えてみるのですが「君はまだ経験が足りないから」といった言葉で丸めこまれてしまいます。
こんな話をすると、「お前が仕事できないからうまく逃げられてたんだろ(笑)」と言われる気もしますが・・・
自分の名誉のため(笑)に言っておくと上司からは「君の方が仕事ができるから〇〇さん(40代)にも仕事教えてあげてくれ」と言われる程度には信頼関係はできていたかと思います。
実際に査定も高評価でしたし、おそらく上司はゆっくり育てていこうと思ってたのかもしれません・・・・
でも自分の中では「じゃあいつになったらその経験ができるんだ!!」という思いが強くなっていった訳です。
1つ目の理由でもお伝えした通り、私は現場に出ることがなかなかできなかったので、この思いを解決する方法が見つかりませんでした。
日に日に募る「俺のアイディアの方がいけてる!!」という思いとそれを試せないフラストレーション。
自分の施策をマーケットにぶつけて、成果を出して、社会人としての実績を上げたい!!
このような思いを抑えきれなくなったことが転職を検討し始めた2つ目の理由です。
数字を上げ始めて活躍する同期を見て焦りを感じ始めた
日々フラストレーションを抱えながら仕事をしていたわけですが、ある程度社会人経験をつんでいると、営業部門に行った同期が着々と営業数字を上げていることが嫌でも耳に入ってきます。
特に仲の良かった同期、研修時代に切磋琢磨していた同期が実績を出していることを聞くと結構凹みます。
同期は成果を出してきているのに、自分はチャレンジすらできていない・・・
ビジネスパーソンとして「あなたの仕事は?」と聞かれたときに自信を持って回答する実績がついてこない、つきそうにないということにかなりの焦りを感じる。
このままじゃ10年経ったときに自分は会社にしがみつく人間になっているんじゃないか・・・?
焦りと不安から転職をリアルに考え始めるようになっていました。
会社に残り続けた自分をイメージして絶望した
このようなことで悶々としていると、この会社に残り続けて10年経ったときの自分を想像し始めます。
10年経ったら30代中盤。
この会社の30代中盤ってどんな人が多いんだろう?
気になってオフィスを見渡すと、正直なぁなぁで仕事をしている人の多いこと多いこと。
まぁ正直なところ、大手で会社は安定しています。
年功序列で大して仕事をしていなくても私の2倍以上の給料をもらうこともできるわけです。
そりゃ仕事をしないという戦略もアリですよね。
でも私は絶対にそんな人達みたいになりたくなかった。
そして、このままいったら自分も牙を抜かれてなぁなぁで生活残業をして、会社が危なくなってもしがみつく方法を第一に考えるイケてない人になってしまう!!という危機感がものすごく強くなりました。
正直「この人みたいになりたい!!」と思うような人は会社内にいませんでしたしね。。。
今思えば私の視野が狭かっただけなのかもしれません。
ただ、終身雇用が確実ではなくなる時代に、この会社に居続けるのはリスクが大きすぎる。
少なくとも当時の自分はそう思っていました。
ビジネスの全体像を見れる会社にいって社会人スキルを高めたいと思い始めた
ここまでくるともう会社に残るという考えはほとんどなくなっています(笑)
また、よくよく考えるとこのままではビジネスの全体像を見る経験もできないことに気づきました。
大きい会社あるあるだと思うのですが、隣の人が何をしているのかが分からないといったことがよくありますよね。
まさにその状況です。
どのように事業が成り立ち、どのような役割の人がどのような仕事をして、オペレーションも含めてどのような差別化ができているのか。
それを見るという経験がこのままではできないと感じました。
そして、この状況が続いてしまうとビジネスパーソンとしてのスキルが無い30代40代になってしまうという焦りがありました。
この頃には転職という手段しか現状課題を解決できないという結論に至っていました。。。
※(一部脱線したお話)
ちなみにですが、サラリーマンとして勝負するならわざわざビジネスの全体像を見れなくても構わないんだな・・・というのが今の考えです(笑)
もちろん、ビジネス企画とか事業企画というポジションであれば全体像が見えることは必須ですが、営業マンとして活躍する!!とか、企業に属すること前提であれば全体像なんて知らなくても問題ないです(笑)
全体像なんか知らなくても十分に市場価値は有ります。
そもそもサラリーマン(勤め人)というのはビジネス全体のうちの一部分を担って高いパフォーマンスを出す!ということに特化した生き方ですし、会社もそのような人間を求めています。
この話についてはまた別の記事で書きたいと思います。
※(一部脱線したお話おわり)
正直人間関係と会社の将来性にも不安があった
これは詳細を書くことは避けますが、転職を後押しした理由に「人間関係」と「会社の将来性」といったこともあります。
個人的にはお世話になった人も多く、今でも付き合いのある方、助けてくれる方も多いので全てが悪かったわけではありません。
ただ、一部人間関係等で悩んでいたことは事実なので、そのストレスから逃げたいという気持ちもありました。
ベンチャー企業に転職することに決めた
この状況ではマズイ。ビジネスの全体像を見るのであれば大きい会社ではダメだ。
どこに行っても食えるようになる、会社にしがみつかないで済む人間になるには社外の人に語れる実績を上げる必要がある!!
早期に実績を上げて、なおかつビジネスの全体像を見るにはどうすべきか・・・
よし。ベンチャー企業に行こう!!
自分が葛藤を抱いていた事象を考えた際に、私の中では転職先はベンチャー企業しかないと決めていました。
特にビジネスの全体像を見ようと思ったら、小さい会社でないと難しいと思った訳です。
大手企業の縦割り文化では他の部門との関わりはなかなか見えてこないことは実感としてありましたし、大手企業ではすでにビジネスの仕組みが構築されているので自分で作り上げることも難しいです。
カレーの作り方で例えると、ビジネスというのは
材料を買ってきて→材料を切って→カレールーと合わせて煮て→お皿においしそうに盛り付ける
といった全体があって成り立っています。
しかし、大手企業では「材料を買う人(購買部門)」「材料を切る人(開発部門)」など業務が細分化されていて、事業規模も大きすぎるため全体を見ることは難しいです。
ベンチャー企業であれば、事業規模がさほど大きくなく全体像が見える上に、ビジネスの仕組み自体も不完全な部分が多く、トライ&エラーを繰り返してブラッシュアップしていけます。
少なくとも大手企業よりは私の得たい経験は得られるだろうという考えがありました。
これまで乗ってきたレールから外れるしかない・・・
自分の中ではもうこれ以外選択肢がありませんでしたし、今の知識で当時に戻っても同じ判断をすると思います。
こうして私はベンチャー企業へ転職する意思を固めたのです。
次回記事についての予告
今回は私が大手企業を辞めてベンチャー企業への転職を検討し始めた理由について簡単にお伝えしました。
次回記事ではどのような基準でベンチャー企業を選定したのかについてお伝えできればと思います。
現在ベンチャー企業への就職、転職を検討している方に参考になるかと思いますので、次回記事もご確認ください。
思ったよりも長くなってしまったので今回は以上です。