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ベンチャー転職

【企業ステージ別】大手からベンチャーへの転職のメリットと注意点

大手企業に入社して数年(通常2~5年)経つと、自分にビジネススキルがついていないことに焦りを感じる人が増えてきます。

大企業の場合、仕事の多くを社内調整に割いていたり、ビジネス全体の一部しか経験できないことが大半なので、自分が大した実績を持っていないこと、他の人に語れるだけのスキルを持ち合わせていないという状況になりがちです。

一方で配属ガチャ、上司ガチャにうまく当たった人は3年くらい経つと実績を上げ始めているので、同期との差を見ると実績を上げていない自分に余計に焦りを感じ始めます。

基本的に大企業に入社する人の多くは有名大学を卒業し優秀な人も多いです。このような方々は成長欲求も高いため、社内雑務などが業務の大半を占めてくると自分が成長していないことに対して大きな不安を感じるのは妥当なことでしょう。

近年はこのような背景と、転職市場の流動性の高まりから、ベンチャー企業への転職というのも身近な選択肢としてとらえられるようになってきました。

実際に私も大手企業からベンチャー企業への転職を経験しています。

しかし、一概にベンチャーといっても、当然のことながら与えられる環境や得られるスキルは様々です。

今回は、実際に大手企業からベンチャー企業に転職した私が、ベンチャーに転職して感じたことや、周囲の方に聞いた情報を参考に、会社の従業員数を切り口にして、ベンチャー企業に転職するとどのようなスキルが求められるのか、どのようなスキルが得られるのかについてまとめるとともに、会社規模ごとに大手からベンチャーに転職する際の注意点についてもお伝えしたいと思います。

※従業員20名程度といったフェーズは私も情報がないので、そのような規模の情報については別の情報源に当たってもらえればと思います。

Middleステージ:従業員数30~50名程度の企業規模

メリット1.会社全体を理解した上で組織を作る経験ができる

従業員数が30~50名程度のベンチャー企業は、ある程度事業が成立し、管理部門、開発部門、営業部門など、徐々に明確な役割を持った組織が作られていくフェーズになります。

会社自体そこまで大きくないため、事業の全体像も見やすく、それぞれの部門にどのような役割を持たせるべきか、どのようなオペレーションが適切かということをトライ&エラーを繰り返しながら検討していきます。

このような事業規模の会社に入社すると、事業全体が回るように組織を構築するスキルは身に付きやすいです。

事業の全体像を見て、サプライチェーンにおけるそれぞれのフェーズ(部門)でどのような課題が発生するのかを理解し、全体最適を意識して解決することが求められます。

大手企業だと事業全体をイメージしたり、組織を構築するといったビジネススキルは身に付きにくいので、仮に自分で事業を興すことを想定した場合にもとても有益な経験を積めるでしょう。

また、当然のことながら事業も回し続けないといけないため、事業を良くするために、日々自部門の業務をブラッシュアップし続ける必要もあります。

入社する際のポジションによっては、事業全体の組織最適化よりも、各部門で与えられた役割や業務をブラッシュアップ(営業なら営業組織の強化や型の構築)することへのコミットが求められる可能性もあります。

もちろん両方の役割が求められることがほとんどですが、これまでのご自身のキャリアや組織の完成度によって求められる業務の割合も異なるので、転職を検討している方は面接などで何が求められているのかは明確にしておくと良いでしょう。

メリット2.順調に事業拡大が進めば数年後の幹部社員も狙える

また、このフェーズで入社した場合、実際に事業を創り上げてきたメンバーとなるので、しっかりと成果を出すことができれば数年後に幹部ポジションになる可能性もあります。

例えば25歳(社会人3年目)で転職した場合、28歳ころには部下を持ち事業責任者として仕事をしている可能性もあります。

20代でマネジメント経験まですることは大手企業ではまずありえないですし、成長企業でその経験をできていれば一気に市場価値が高まります。

大手企業の部長クラス、課長クラスでも、一つの事業の初期から携わり、グロースさせ、マネジメントまで経験したという人はほとんどいません。

大手企業の部長クラスや課長クラスは、出来上がったビジネスのうちの一部分(営業社員なら営業領域)で成果を上げた人が大半となるからです。

仮にベンチャー企業で、一つの事業の初期から携わり、グロースさせ、マネジメントするまでの経験ができれば、今後のキャリアにおいてもかなりプラスになるでしょう。

メリット3.順調に成長し上場も目指す場合はストックオプションも期待できる

仮に順調に事業が成長した場合、幹部社員で事業成長に貢献していればストックオプションも期待できます。

ただし30名以上の規模となると、そこまで多くのストックオプションが貰えるとは限らないので、上場して億万長者!!といった過度な期待は禁物です。

そもそも上場までは準備期間含めて3年程度の期間が必要なので、ストックオプションに期待するのではなく、ご自身のキャリア形成にとってプラスになるかといった観点をメインに転職を検討しましょう。

注意点1.事業の成長性について確認しておく

次にこの規模のベンチャー企業に転職する際の注意点です。

この規模の会社は事業である程度売り上げが立っているケースが多いです。しかし、今後も成長が期待できるかは別の話です。

扱っているプロダクトとどの程度の市場が期待できるかは確認しておく必要があります。

もし成長が期待できるのであれば、実際に事業が成長した際にご自身が幹部社員などおいしいポジションに就ける可能性は高いです。

一方で、ここで頭打ちになりそうだとすると古参のメンバーがおいしい思いをするばかりで、自分はうまくキャリアアップできないということにもなり兼ねません。

プロダクトによって成長可能性や市場調査の仕方は異なりますが、基本的な調査方法はこちらのページにまとめているので参考にしてください。

また、ベンチャー企業の決算情報はHPから確認するのは難しいですが、簡単な情報はこちらの官報ブログから確認することもできます。

全ての企業情報が乗っているわけではないですが、参考になれば幸いです。

注意点2.場合によっては組織の崩壊も起こりやすいフェーズ

メリット1の部分で組織を作っていく経験が積めるということをお伝えしましたが、裏を返せば、このフェーズでうまくいかないと組織が崩壊する可能性もあります。

組織を作っていく上で、各々の部門間での軋轢や、組織が大きくなるフェーズで参画したメンバーと創業メンバーとの価値観の差、事業を回しながら組織も構築していくというストレスが溜まると組織崩壊リスクも高まります。

HPや面接を通して、創業メンバーと他社員の関係性であったり事業ミッションへの共感度などを確認しておくと、今後の荒波を乗り越えられるメンバーが集まっているかの判断に繋がるかと思います。

また、最近だとwantedlyなどのサイトからも社員ブログや会社イベント情報を確認できるので、ブログやイベント参加を通して会社の雰囲気を確認することも重要になります。

注意点3.仕事自体はカオスな場合がほとんど

組織を作りながら、事業もブラッシュアップしていくというフェーズになると、もちろん仕事自体は忙しくなることが通常です。

また、大手企業出身者は基本的に会社のルールがある程度決まっている状況で働くことが普通になっているので、このギャップを受け入れるのに苦労する可能性はあります。

大企業だと稟議の手続きや、出退勤管理のルールなど当たり前に整っていてマニュアルなども整備されていたものが、この規模の会社では整っていないことが多いです。

これらを全てゼロから自らつくっていきながら事業拡大のための顧客とも向き合っていくことになることは覚悟しておきましょう。

ルールを作りながら、事業もしっかりと進めるというのは想像以上に大変です。

目の前のお客さんに最適なサービスを提供したいのに、そのためのルールが決まっていない。今後のことも考えて、最適なルールを作るために各部門と調整しながらスピーディーに顧客対応を進めなくてはならない。

部門間の軋轢、創業メンバーの考えにも配慮しつつルールを整備するというのは相応のコミュニケーション能力と仕事を構造化できる能力、メンタルの強さが必要になることはイメージできるかと思います。

Laterステージ:従業員50~200名程度の企業規模

メリット1.事業の全体象を理解した上で、所属部門において多くのチャレンジができる

社員数が50名を超えてきて採用も増えてきている企業はある程度組織化もできてきて、各部門の人員を強化する段階に入っています。

また、複数事業が立ち上がっている場合が多いです。

※個人的に大手でくすぶっている若手社員におススメのフェーズはこの規模の会社です。

この段階で入社する場合は各部門を強化する人員として入社することになるかと思います。

この段階で入社することになると、全体最適を意識しながら自ら組織を作っていくという段階から、自部門を成果の出せる組織にするために様々な施策を検討し、実行するというフェーズになります。

とはいえ、会社自体は全体が把握できないほど大きいわけではないので、各部門のつながり等は理解した上で自部門の業務に取り組むことができます。

大企業の場合、隣の部署がどのような業務フローでどのような仕事をしているかが見えないことが多いですが、この規模のベンチャー企業であれば各部門がどのような業務フローで何を意識して仕事をしているかは把握できます。

社員も若いことが多く分からないことがあれば質問もしやすい環境にあるので、積極的に質問し社内人脈を構築すると良いでしょう。こうすることで後々社内で動きやすくもなります。

※100名くらいの規模が一番良いかもしれません。200名規模になってくると少し見えない部分も出てきますので。

また、所属部門のミッションもある程度定まっており、ベンチャー企業に入ってくるようなメンバーであればモチベーションは高いことが多いので、自分で考えた施策を試す環境も整っています。

※どのようなバックグラウンドのメンバーが多いか、どのようなモチベーションのメンバーが多いかはwantedlyや面接で確認しておいてください。個人的には面接が終わったタイミングなどにオフィスに入れてもらい、雰囲気を確認しておくのがおススメです。

短期で成果評価ができるKPIを設定できる事業であれば、市場で評価される実績を早期に積むことが可能です。

大手企業にいる状況で実績を出せないことに不安のある人にはこの規模の会社がおススメです。

メリット2.マネージャーポジションを狙える可能性もある

またこの規模の会社だとマネージャーポジションを狙える可能性があるのも魅力になります。

募集されている部署、ポジションにそれほどメンバーがいない場合は入社後に成果を出すことでその部門のマネージャーを担える可能性が出てきます。

役職がつくかどうかについては、すでに入社しているメンバーがどの程度優秀なのかによっても異なるため、もし役職に就きたい!!という想いがあるのであればすでに入社している社員のキャリアについてもしっかりと確認しておくと良いです。

最近の傾向として、少し前からコンサルファームの採用が増えている影響を受け、コンサル業務を一通り経験し、転職しようという人が転職市場にあふれています。

基本的にコンサルファームを出た人は優秀だと判断されており、創業メンバーからも良いポジションに就くことを期待されていることが多いです。

このようなキャリアの人が多い場合は、あなたが役職につくまでのハードルは高いということも理解しておきましょう。

一方で、そのような優秀な方の下について自分のスキルを身に付けるのを最優先にしたいという方にとっては良い環境だと思います。

※ただ、上のポジションに上がれない場合は給与も上がらない可能性が高いので、入社と合わせて撤退戦略も持っておくことも大切です。撤退戦略については別の記事でまとめます。

ベストは入社のタイミングで役職を貰うことですが、なかなか難しいかもしれません。

メリット3.ものすごいカオスな状況は考えにくい

この規模の会社になると、ある程度企業としての組織化もできているので、大手企業から転職してもギャップがものすごい大きいということはあまりありません。

そこそこにルールも出来上がっていて、足りない部分を少しずつブラッシュアップしていくというフェーズであることが多いので割と働きやすい環境にあるかと思います。

とはいえ、事業の内容によっては突発的な炎上などは有り得ますので、その点の覚悟は必要です。まぁこれは大手であっても変わらないですね。

ベンチャーに行ってついていけるか不安という方は、この規模の会社であればそこまでビビらなくて良いかと思います。

最近はベンチャー企業の方が働きやすさに気を使っている時代ですし、社長も30代とかだと価値観も割と近かったりします。

注意点1.役職が上がらないリスクは予想以上に大きい。できれば役職付きで入社すること

従業員数がある程度の規模になってくるとその分競争は激しくなります。

また、会社によっては事業拡大に伴うマネージャーポジションを外部登用でそろえる可能性もあります。(入社時点で各々への期待値が既に決まっているパターン)

もし競争によって上に上がれなかったり、役職に就く人間は外部登用がメインだったりする場合には給料の上限がほとんど決まってしまいます。

従業員数50名程度の規模までに入社していれば、事業拡大に応じて役職を得られる可能性は高いですが、200名規模の会社になると競争も激しくなります。

また、この規模の会社になると外から人を取ってくるだけの資金力も十分に持ち合わせていることが多いので、役職者は外から優秀な人間を引っ張ってこようと考える会社も増えてきます。

リスク回避のために、最初から役職付で入る or 数年経っても役職が付きそうにない場合の撤退戦略も作っておくことが大切です。

注意点2.徐々に部署間の軋轢が生まれるようになってくる

組織が徐々に出来上がっている状況なので、大手企業であるような部門間の壁が徐々に生まれてきます。

なので、部門間の壁の無いフラットな環境で働くためにベンチャー企業への転職を検討している人に対しては、組織間の壁は多少はあるということはお伝えしておきます。

しかしながら、個人的には大企業と比べると遥かに良い環境だとは思います。

ベンチャー企業に集まるメンバーは会社や事業を良くしよう!!という意識が強いですし、基本的にはプラスになりそうな意見に対しては協力的に動いてくれる可能性が高いです。

各部門の役職者によっては根回し等も必要になる可能性はありますのでその点は注意です。

フラットな環境に過度に期待しないように意識しておきましょう。

どんな組織でも人間関係の見極めは大切です。

注意点3.ストックオプションがもらえる可能性はほとんどない

こちらについては会社の考えによるところが大きいのですが、この規模になるとストックオプションを貰える可能性はかなり低くなります。

貰えるとしても会社として優遇している人間に限られるかと思います。

人数的にも全員に付与するのは難しいことが多いですし、仮に貰えても正直なところ数百万の儲け程度にしかならないかと思います。

この規模になるとストックオプションを狙った転職は考えない方が良いでしょう。

従業員数200名以上の企業規模

メリット1.整った制度の上で若い文化の中で仕事を進められる

この段階になると正直なところベンチャー感は薄れてきます。

※メガベンチャーと呼ばれる企業も該当しますが、今回はメガベンチャーは別物として扱っています。

人数も多いためオフィスも大きめのところを借りるようになるでしょう。

社内制度等も整ってきて、落ち着いた雰囲気の中で働くことができるかと思います。

大手企業と異なるのは、社員が若いため同じような価値観の元働けるということです。

年齢ギャップなどで仕事上のストレスを感じている人にとっては快適な環境で働けるかと思います。

ベンチャー企業でイメージされるようなカオスな状況で働くということはほぼ無いといってよいかと思います。

注意点1.何を得たいか明確にしておかないと給料が減るだけになりかねない

この規模の会社で働くとなると、大手企業との差は「文化による差」程度になりかねません。

すでに役職者などは固定されている可能性が高く、ルールも整っていることがほとんどなので経験値といった面でも給与といった面でもベンチャーに転職するメリットがそこまで無い可能性があります。
※リクルート、LINE、サイバーエージェントなどのメガベンチャーと呼ばれる会社であれば給与もある程度保障されていますが本記事ではこれらの会社は除いてベンチャー企業を考えています。

ベンチャー企業への転職によるウマ味は企業規模が大きくなるごとに少なくなるので、どうせ行くのであれば100人~150人規模のころに転職することをおススメします。

ついていけるか不安な人もいるかと思いますが、20代のうちの転職で取り返しは可能です。(ベンチャーから大手への転職もメガベンチャー経由やコンサル経由などの方法で可能です)

正直なところ300人とか400人規模のベンチャー(と言っていいかも微妙なライン・・・)に転職してしまうと思ったほどの経験も得られず、むしろ市場価値が下がってしまったということになり兼ねないので注意してほしいと思います。

企業規模に関わらず得られるメリット

ベンチャー企業は基本的には人材が流動的です。

人がよく入れ替わると聞くとネガティブな印象を受けがちですが、人脈構築という面では実はメリットもあります。

ベンチャー企業にいた人というのは、転職をしつつ自分のキャリアを作る傾向にあります。会社に依存するという思考があまりありません。

そのため、ベンチャー企業で出会った人が、数年後には色々な会社に散らばり、その人脈をもとに新たな仕事が生まれるということもあります。

場合によってはかつての人脈を元に引き抜きを受けるということもあります。

もちろんベンチャー企業で信頼に足る仕事をすることが大前提にはなりますが、一緒に働いた人との人脈は社会人生活を通して大きな価値を持つことになります。

私自身ベンチャー企業で培った人脈に助けられている部分もあるので、こちらについても是非参考にしてもらえればと思います。

また、人材が流動的で役職者も転職しがちということであれば自分がそのポジションに就くことも可能です。

人材が流動的であることも、捉え方次第でメリットになります。

勤続年数については口コミサイトなどで確認できることもあるので、事前に確認しキャリアプランを練っておきましょう。

まとめ

今回は従業員数という切り口でベンチャー企業へ転職する場合のメリットと注意点についてお伝えしました。

個人的にはベンチャー企業に転職するのであれば100人程度の規模になるまでに転職するのが良いかと思います。

もちろん、転職する際には事業の成長性や従業員のバックグラウンドなど確認すべきことがたくさんありますが、従業員数という切り口だけでもある程度の傾向は分かります。

今回の記事がみなさんの参考になれば幸いです。