コンサル/シンクタンクへの転職ではケース面接など独特な面接内容への対策ばかり目を向けられがちですが、一番大切なのは実は自己分析です。
ケース面接はあくまでも面接の「枝」部分。
「幹」は自己分析を通してあなたのキャリア、志望動機を語れるかという点です。
※コンサル転職はキャリアについても「なぜなぜ」を追及されます。
しかしながら、自己分析がなぜ重要なのか、どういった点で活かせるのかということをしっかりと理解して取り組んでいる人は少ないように思います。
今回はなぜ自己分析は重要かという話と、自己分析はどうやれば良いのかといったことをお伝えしていきます。
Contents
自己分析は適職を見つけるための手段ではない
まず最初に、自己分析は適職を見つけるための手段ではありません。
このように言うと少々過激かもしれませんね。
正確にいうと「自己分析は適職を見つけるため”だけ”にやるもの」ではありませんといったところでしょうか。
もちろん自分のことを知って、適正のある職に就くといった点でも重要ですが、見落としてはいけないのが、転職、就職における自己分析は「面接の問いに対して納得感のある回答をするために必要」という点です。
転職でも新卒の就活でも、面接の際に「あなたってどんな人?」ということは問われます。
直接的な質問でなくても、あなたのキャリアや実績を聞きながら、その背景にある「あなたの人物像」を洗い出そうとしてくるわけです。
このときに「あなた自身の個性・キャラクター(強み・弱み)」が「キャリアと実績」に結びつくことで、面接官に納得感を与えられます。
この納得感を与えるには、
1.自分が自分の個性を理解していること
2.自分の個性がキャリアと実績にどう影響したかを理解していること
3.それについてロジカルな説明ができること
4.自信を持って伝えること
が必要になります。
このように書くと一見手間がかかるように思えます。
ですが基本的に「1.自分が自分を理解していること」「2.自分の個性がキャリアと実績にどう影響したかを理解していること」の部分がしっかりとできていれば3.4.についてはそこまで心配する必要がありません。
「1.自分が自分を理解していること」「2.自分の個性がキャリアと実績にどう影響したか」を本気で考えれば、「3.それをロジカルに語ること」はできますし、徹底的に分析しきった!!と思えれば「4.自信を持って伝えること」なんて自然にできます。
では徹底的に分析しきるにはどうすれば良いのか。
それは3つの視点を使い分けることです。
自己分析には3つの視点を使い分けることが大切
自己分析に必要な3つの視点とは
自己分析は3つの視点を活用して行います。
その3つの視点とは
・自己の視点
・他者の視点
・科学的な視点
の3つです。
これからそれぞれについて説明します。
みんなが使う「自己の視点」
転職活動をする際に、まずは自分ひとりで行なうという人が多いでしょう。
これは全く問題なくて、まずはしっかりと自分で考えて自己分析を進める必要があります。
冒頭で伝えた通り、「あなた自身の個性・キャラクター(強み・弱み)」が「自分のキャリア・実績」とどう結びついたかまで考えることが重要です。
で、ここまでは本当に最低限の最低限のレベルです。
これと合わせて、「あの時にもっとこうすれば良かった!!」ということがあればその点も洗い出しましょう。同時に「なぜそれができなかったのか」「自分に足りない資質は何なのか」まで明確化しているとかなり良いです。
コンサル/シンクタンクへの転職でおこなう面接では
あなたの取った施策は最善だった?他にやり方はなかった?
という点まで深堀されます。
このことを意識して分析してください。そして当時なぜそれができなかったのか、今ならどのようなアプローチで何をするか。それを考えましょう。
自分視点で自己分析をする場合、手法については自由です。
ひとつ言えるのはノートなどに書き出すことですね。頭の中だけでやっていては考えはまとまらず、意識は色んな方向に分散してしまいます。
テクニカルな手法を期待された方には申し訳ないですが、しっかりと内省し、まずは自己視点で考え抜いてください。
ただ、あくまでも今行っているのは自己視点の分析でしかないことを理解しておくことは大切です。
他者視点の分析で自己分析に厚みを持たせる
先ほどの「自己の視点」というのはほとんどの人が意識できていると思うので、問題ないかと思いますが、「自分の思い込み」から抜け出せないという弱点があります。
相手にも「自分の思い込みじゃないの?」という印象を与えてしまうため、納得感を得るにはあと一押し必要です。
その弱点を補うのが他者視点の分析です。
仕事を進める中で、他者からどのように見られているのか。それは自己認識と一致することもあればズレていることもあります。
可能であれば同僚から自分がどう思われているかも確認しておきましょう。
特に自己認識と一致していると良くて
同僚からも〇〇といった評価・コメントを貰っているので、△△だと思ってます
ということが伝えられると一気に相手の納得感も高まります。
(まぁここは口から出まかせでも正直いいんですが、裏付けがあると自信を持って話せます。その自信は結構雰囲気に出ますので、できれば直接同僚とそれとなく確認できると良いですね)
ちなみに自己認識と他者認識の差がある場合は、「なぜそのようなギャップが生まれるのか」を考えて明確にしておくと、仕事を進める上で+に働きます。
ただ、このギャップに関しては別に面接でエピソードとして語ることはないので心にとどめておく程度で結構です。
転職面接で使うというよりも今後のキャリア形成や、仕事の進め方の参考にする程度で問題ありません。
科学的な視点で最終チェック。これが最重要!!
自己と他者による分析が終わったら、最後に科学的な視点で磨きをかけます。
この分析がかなり重要です。
科学的な視点で裏付けをとることで、自信を持てますし自分も他者も気づかなかった資質を認識することができます。
自分の才能を知ることで自分が何に時間を投資するべきかも分かるようになるでしょう。
これは今後のキャリア形成を考える上でも非常に重要です。
使うツールは「ストレングス・ファインダー2.0」というツールです。
これは心理学を活用した科学的なアプローチであなたの才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)を明らかにするものです。
「あなたはこういった資質がありますよ」「こういったことに注意した方が良いですよ」といったことがうまく言語化されています。
納得感も高く、「自分では普通だと思っていたこと」が自分の才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)だったと気づくきっかけになるので、ビジネスマンは一度受けることをおススメします。
※ちなみに才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)と強み(高い成果を生み出す能力)は別物です。
この点についてはこの章の最後に触れます。
例えば私の場合、「慎重さ」という資質が高いです。ここに独自の才能があるということになります。
「慎重さ」の資質が高い人は以下のような特色があります。
「慎重さ」の才能が強い人は徹底的で注意深いアプローチで物事を決定します。さまざまなオプションを検討し、それぞれの選択肢の良い点と悪い点を評価します。予測能力と思慮深さからリスクを軽減して問題を回避する能力があります。そのため、優れた決断を下す傾向にあります。
自分で言うのもおこがましいですが、私は仕事上のミスは少ないです。
頭の中で様々なリスクを検討し、一手を打つという判断を自然とおこなっているという感覚があります。
あらゆる策に対してストーリーをイメージし、最善ルートを探るということは思考の癖になっています。
しかし、私の場合、ストレングスファインダーをするまではこれを「才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)」としては認識していませんでした。
普通のことだと思っていたからです。
ただ、これを自分の才能として認識することで、自分が特定の施策を実行する際に、どれだけのオプションを準備し、どのような判断基準で施策を打ち出したかを振り返るきっかけになりました。
これによって、面接の際にもエピソードと才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)をリンクさせて語ることができたと思います。
ストレングスファインダーでこうでした!!という説明をするためではなく、自信を持って語るための裏付け、自分の持つエピソードと才能を紐づけるためのツールとして一度受けておくと良いでしょう。
ちなみに現役コンサルの私の資質も別の記事で公開しています。
興味のある方は見てください。
また、誤解のないように断っておきますが、「才能」はあくまで「頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン」であって「強み」ではありません。
各々の才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)に相性のよい投資(練習やスキル開発、知識を身に付ける時間)を掛け合わせることで初めて強み(高い成果を生み出す能力)となることは理解しておきましょう。
例えば私は「慎重さ」が上位資質とお伝えしましたが、そのことを考えると「リスク管理」や「リスクマネジメント」について学ぶ機会を得ることで自分の才能を磨き上げ、強み(高い成果を生み出す能力)を身に付けることができると考えられます。
今回テーマにしている「面接に向けた自己分析」では、自分の才能(頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン)が、これまでのキャリアや実績を構築するうえで、どのように発現していたかを理解するだけで十分ですが、今後自分が何に時間を投資するべきか考える上でもストレングスファインダーは強力な武器になりますので、今回の記事をきっかけに深く考えてもらえればと思います。
自分を深堀するツールは複数持つべき
自己分析というと、自分視点、他者視点で終える方が多いです。
でもそれだけでは他の人たちと差を使ることもできませんし、自分のキャリアを形成していくうえで片手落ち感は否めません。
自己分析ではジョハリの窓という有名なマトリクスが存在します。
この④の枠は未知のものとされてきましたが、私は科学的なアプローチを活用することで、④の枠に位置付けられていた自己を③の枠にシフトすることができると考えています。
そもそもジョハリの窓の考え方は1955年に作られたものですから、研究が進んだ今は複数の分析ツールを活用して、自己分析はより詳細に行えるものだと思います。
今回はストレングスファインダーを紹介しましたが、ご自身で他のツールも活用し、詳細に分析していただくと面接のみならず今後のキャリア形成にも役立つかと思います。
さいごに
今回は面接に向けた自己分析についてお伝えしました。
軽く見られがちな自己分析ですが、しっかりとやり抜くことで面接にも役立ちますし、今後のキャリア形成にも役立ちます。
自分の才能を知って、強みを構築するための一助にもなりますので、この機会に真剣に取り組んでもらえればと思います。
また、折角ですのでその振り返りはノートなどに残しておき、いつでも確認できるようにしておきましょう。
さまざまな経験を通して思考性も変わってくるかと思いますが、その時に振り返るものがあると気づきも多いかとおもいます。
自己分析をあなたのキャリアの味方につけていただければ幸いです。