近年人気が高まっているコンサルティング会社への転職ですが、一口にコンサルティング会社といっても、戦略・企画、業務、ITなど、担っている役割はさまざまです。
一方でどのコンサルティング会社がどの領域で勝負しているのかをまとめた記事というのはなかなか見つかりません。
私自身も転職を検討した際に非常に困りました。
今回は私が転職活動をする中で収集した情報を元に、コンサルティング会社各社がどの領域で勝負をしているのか、それぞれの領域ではどのような仕事をしているのかをお伝えします。
コンサルティング会社の業務内容は戦略、業務、IT、領域特化に分類される
コンサルティング会社は現在就活生、転職者双方に注目の集まっている業界であります。
しかし、各社の違いについてしっかりと理解していないと業務ミスマッチに繋がる可能性があります。
そこで、コンサルティング会社・シンクタンクへの転職活動をした私が集めた情報から大まかに業界マップを作製したので、まずはこちらを参考にしてください。
左のブロックでコンサルティング領域を分類していますが、戦略・企画、業務、IT、領域特化といった形で分かれています。
また右側にある丸角の枠は、戦略系、総合系、シンクタンク系、IT・ベンダー系、などの会社の成り立ちを背景をとしたグルーピングで分類しています。
近年人気が高い、いわゆる外コン(外資コンサル)は、主に戦略系や総合系に多くなっています。
今回は左ブロックで表現しているコンサルティング領域の違い(戦略・企画、業務、IT、領域特化)について説明していきたいと思います。
各領域の仕事内容を比較することで理解が深まるかと思いますので参考にしてください。
コンサルティング領域による違い
戦略・企画コンサルティングの仕事は企業全体の戦略、事業全体の戦略
戦略・企画コンサルティングの仕事内容
戦略コンサルタントとは、企業の経営層や事業企画部門に対して、事業計画や新規事業立案などの提案をおこなう仕事です。
就活生がイメージしやすく、憧れを抱きやすいのがこの戦略コンサルティングです。
かなりおおざっぱな説明をすると、「もともとはカメラのフィルムがメイン事業だったけど、今後はデジカメが普及するからコア技術を活かして化粧品業界にシフトしましょう!!」といった提案をするのが戦略・企画コンサルティングといったイメージです。
企業の全体的な経営方針に関わることができ、企業の大きな方向性を決めていくことができる点にやりがいを感じる人やカッコよさを感じる人が多いかと思います。
華やかなイメージを持たれる方が多い一方で、実際にはかなり泥臭い仕事が多く、現地調査やクライアントへのインタビューやクライアントとの議論、「仮説⇒検証⇒提案」の繰り返しなどなど、一筋縄ではいかない仕事となります。
戦略・企画コンサルティングで活躍する人とキャリアパス
戦略・企画コンサルタントは
・事実(ファクト)を集め、そこから推論する力
・エクセル関数やマクロ、フレームワークを使い、ロジカルに分析する力
・相手の話を聞くコミュニケーション力、論点を整理する力
といった能力が必要とされます。
また、さまざまな業界に関わることから素早いキャッチアップ能力も必要となるでしょう。
戦略コンサルタントを経験した人は、コンサル業務で培ったスキルや人脈をいかして、起業する方もいれば、企業の経営部門や事業企画部門へ転職する人もいます。
有名ファーム(マッキンゼー、ボストンコンサルなど)で経験を積んだ人はヘッドハントで移籍することも多いです。
業務コンサルティングの仕事は製造、調達、会計などの業務の効率化
業務コンサルティングの仕事内容
業務コンサルティングは企業全体の戦略や事業全体の戦略ではなく、その中で発生する特定の業務のコンサルティングをおこないます。
例えば経営戦略で、「車の製造、販売を強化する」といった意思決定がされた場合、単純に車を製造、販売するといっても、その中には色々な業務があります。
もちろん、原材料の調達もあれば、車を製造する工程もあり、それを管理する工程もあり、それを販売する工程もあり、契約する工程もあり、それぞれで発生する会計業務だってあるわけです。
そしてそれら各工程のなかでは人やシステムが活用されていて、オペレーションがうまく回るか、効率的に行われているかがその事業の成果に大きく影響します。
トヨタ自動車はジャストインタイム(JIT)方式で強くなったという話がありますが、イメージとしては、このようなオペレーション、業務フローのコンサルティングをおこなうのが業務コンサルティングの仕事になります。
業務改革、経営資源の有効活用、コスト削減などを達成するために、現状分析をおこない、従来の業務フローを見直して、新しい業務フローを提案するといった流れになります。
業務コンサルタントで活躍する人とキャリアパス
業務コンサルタントとして活躍するには
・製造、販売、調達、人事、会計など専門的な業務経験者
・IT領域における知見
といった強みがあると良いかと思います。
特定の業務に詳しいことで顧客業務を理解した上で提案をおこなうことができますし、現在の業務革新にはITは切っても切り離せない状況ですので、上記2つの強みがあると良いかと思います。
特定業務領域の経験や、ERPパッケージソフト導入経験がある方は業務コンサルタントへの転職が相性が良い傾向にあります。
特にIT出身者から業務コンサルタントへキャリアチェンジした場合、ITシステム導入を前提とした提案が出来るコンサルタントとして、高い価値を発揮できます。
経験を積んだ後は、他のファームへのヘッドハンティングの可能性もありますので市場価値も高まるかと思います。
ITコンサルティングの仕事はIT戦略の立案から運用保守までIT全般
ITコンサルティングの仕事内容
ITコンサルタントは、IT戦略~IT企画~システム要件定義~システム設計~システム開発・導入~システム運用・保守までITに関する領域を幅広くコンサルティングします。
業務コンサルタントと連携し、実際にIT導入をおこなうところまで対応することが多いです。(もちろん企業全体の経営方針や戦略を理解した上でIT企画をする必要があります)
システム稼働後も運用・保守の部分で更なる改善のための提案をおこなうこともあります。
クライアントの現場で働いている人や、実際の業務に一番深く関わる仕事なのでとても重要な仕事です。
ITコンサルタントで活躍する人とキャリアパス
ITコンサルタントとして活躍するには
・プログラミング知識やITツール・ソリューション(ERP等)の知識
・事業会社(IT部門のみならず利用ユーザー部門で)システム企画経験
といった強みがあると良いです。
IT系の領域になるため、その分野の知識は仕事をしながらでも磨き続ける必要があります。
周りを見ていても、新しいシステムや技術について学び、自己研鑽に励む人が多いように見えます。(まぁこれはコンサル業界全般に言えますが)
ITコンサルタントとして活躍した後は、事業会社の業務/IT企画部門にて、IT導入を主導するポジションへの転職する場合が多く見られます。
私が所属していたベンチャー企業でもこのようなキャリアを積んだ方がおり、社内IT関係をコントロールしており楽しそうに仕事をしていました。
戦略系、総合系、シンクタンク系、ITベンダー系の違い
コンサルティング領域の違いが分かったら、各社グループのカバー範囲を理解する
ここまで「戦略・企画コンサルティング」「業務コンサルティング」「ITコンサルティング」の違いについてざっくりと説明してきました。
ここからはこの前提に沿って、俗に言われる「戦略系」「総合系」「シンクタンク系」「ITベンダー系」の違いを説明していきます。
戦略系コンサルティングファームは「戦略・企画コンサルティング」に強み
戦略系コンサルティングファームと呼ばれるファームは、その名の通り「戦略・企画コンサルティング」に強みを持ちます。
元々戦略コンサルティングで名を馳せてきたのですから当然ですね。
しかしながら最近はIT領域にも手を出さないと儲からないということで、徐々にIT領域にもシフトしてきているという特徴もあります。
最近では純粋な戦略だけをやるということはあまり聞かなくなってきていますね。
総合系コンサルティングファームは「戦略からIT実装」まで
総合系コンサルティングファームはその名の通り、戦略からIT実装までを対応します。
ここにグルーピングされるBIG4(デロイト・PwC、EY、KPMG)はもともと会計領域が強かったため、業務からIT、戦略へと派生した形になります。
BIG4各社の差は仕事内容といった意味では正直大差ないと思います。それよりも組織文化の差の方が大きいかと。
またアクセンチュアはIT領域に強みを持ちつつ、戦略系も強いので最近はかなり成長している印象です。
ただ、総合系は扱う幅も広いので、転職の際は自分のポジションをしっかりと把握しておく必要があります。
シンクタンク系は母体によって業務に差あり
シンクタンク系は企業によって業務内容に結構差がありますがあります。
野村総研は金融IT系コンサル、NTTデータ経営研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルは戦略・企画コンサルといった印象が強いです。
シンクタンク系というグループで見ると、総合系と同様に業務の幅は広いのですが、企業によってカラーがあるので、エージェントと相談しつつ各社の特徴とポジションの特徴を確認すると良いかと思います。
IT・ベンダー系は自社製品に依存する可能性あり
IT・ベンダー系のコンサルティング会社は、基本的にはITコンサルティングが強いです。
しかし一方で提供するシステムが自社製品に依存する可能性が強いので、自社製品ありきとなってしまう点が懸念点ではあります・・・
特にIBMなどはその傾向が強くなるのではないでしょうか・・・
アクセンチュアの社員に直接話を聞いた際には、「アクセンチュアはベンダーに縛られずにITコンサルまで対応してクライアント期待に応えている」と言っていました。
IT・ベンダー系のコンサルティングが強豪とどのように戦っていくのかは個人的に気になるところです・・・
まとめ
今回は、さまざまな領域やグルーピングの呼称があり、なかなか実態がつかみにくいコンサルティング会社の仕事内容について説明してきました。
おおまかな説明だったため、細かい企業分析までは至っていませんが参考になれば幸いです。
正直なところ、近年各社のカバー領域は徐々に差が無くなってきている現状があります。
転職をする際には各社の募集ポジションによる影響がより強くなりますので、エージェントと相談し確認の上、後悔の無い転職活動を進めていただければと思います。
それでは今回はここで終わりたいと思います。