大企業での旧態依然とした仕事内容やスキルの身につかない仕事内容に満足できず、ベンチャー企業への転職を検討する優秀層が増えています。
5年ほど前と比べても、商社などの超人気企業からベンチャーへ転職する人やコンサルファームからベンチャー企業へ転職する人が増えてきているようです。
都内の有名私大→有名大手といったいわゆるレールに乗ったキャリアを歩んできた私にとってはベンチャーへの転職は一大決心でした。
結局ベンチャー企業は1年勤めたタイミングで退職し、現在は大手シンクタンクで働いていますが、ベンチャー企業でのキャリアを挟んだことは大きな価値があったと感じています。
個人的には大手でくすぶっている人、ベンチャーへ転職するか悩んでいる人には是非ベンチャーに行って経験を積んでほしい!!と思っていますが、当時ベンチャー企業に転職する際には私も大きな不安を持ちましたし、ベンチャーで1年勤めたからこそ、事前にもっと確認すべきだったなと思う点も複数あります。
今回は私がベンチャー企業に転職する際に確認しておいてよかった点、もっと確認しておけばよかったという点についてお伝えできればと思います。
基本的に転職活動というのは個々人の価値観によって判断基準は異なりますが、そのことは十分理解した上で、私の経験をみなさんの参考にしてもらえればと思います。
重要な話なので長文になることはご容赦ください。気になる項目がある人は目次から飛んでみてください。
Contents
- 注意点1.転職の目的を明確にすること
- 注意点2.年齢によって価値観が変化することも認識しておく
- 注意点3.会社の財務状況、倒産リスクを確認しておく
- 注意点4.事業の成長性を確認しておく
- 注意点5.会社規模ごとの違いを認識する
- 注意点6.ミッションへの共感度は高いか
- 注意点7.社長の志向性を理解しているか
- 注意点8.役員クラスのメンバーの経歴を確認する
- 注意点9.中途採用で募集されているポジションの確認
- 注意点10.転職失敗時にも戻れるように道を確保しておく
- 注意点11.転職先の直属の上司、同僚と面談を設定する
- 注意点12.上司が退職するリスクも考慮する
- 注意点13.上場(IPO)準備企業かどうかの確認
- 注意点14.口コミサイトにおける評価の確認
- 注意点15.オフィスの雰囲気を確認する
- 注意点16.給与や福利厚生制度は細かく確認する
- ベンチャー企業への転職を成功させるには
- まとめ
- さいごにおまけ
注意点1.転職の目的を明確にすること
現状不満を抱いている点の洗い出し
転職を検討しているということは現在の仕事内容になんらかの不満、またはご自身の理想とするキャリアとのギャップがあるかと思います。
まずはその不満を紙に書き出して整理することから始めましょう。頭の中ではなくしっかりと紙に書き出すことが大切です。
紙に書き出すことで思考がクリアになり、ご自身の悩みを客観視することもできます。体裁にはこだわる必要はありません。
不満解決のためのアクションは取れているか
また、それと合わせてそれらの不満を解決するためにどのようなアクションを取ってきたのかも書き出しましょう。
アクションをとれていないようであれば、まずは解決のためのアクションを取ってみましょう。
。。。と、いったものの、その不満を解決するためのアクションに長期間を要したり、なんらかの高いハードルがあるようであれば、転職して環境を変えるというのはアリだと思います。
アクションは必ずしも取る必要はない
よく、「まずは今の環境でやれることはやる!!」という人がいますが、転職することで解決することが目に見えているなら転職した方が良いです。時間は有限ですからコスパを考えましょう。
私の場合もおそらくあと5年ほど待てば状況を好転できた可能性はありましたが、正直そこまで待ってられませんでした。
5年も待てば30代突入ですし、もしその頃に状況が好転していなかった場合、転職しようにも20代での転職に比べて選択肢が狭まっている可能性は高いです。(もちろんやりたいことがその会社のリソースを使うことでしか実現できないなどの理由があればその環境でもがくという選択はアリかと思います)
私の場合はそうなるくらいなら転職してしまった方がリスクは小さいと判断しました。後に記載しますが、もし理想の転職にならなかった場合のリスクヘッジも設けておきました。
想定できるあらゆるパターンを紙に書き出したことで冷静な判断ができたと思います。
紙に書き出すのはとにかく大切です。
ちなみに私が不満に感じていた点については以下の記事で確認できます。
現状で満足している内容の洗い出し
さきほどの不満の洗い出しの後に、満足している点の洗い出しも済ませておきましょう。
ベンチャー企業への転職においては大手では当たり前に満たされていたものが無くなる可能性があります。
現状、当たり前と思っているものも含めて良い点を洗い出しておきましょう。
ベンチャーに求める要件の洗い出し
ここまでやっておけば、不満と満足している点の洗い出しができています。
このなかから転職において譲れる点、転職先のベンチャーに求める点を明確にしておきましょう。これが転職における軸になります。
私の経験については別記事に書いているので参考にしてください。
注意点2.年齢によって価値観が変化することも認識しておく
今は良いと思っていても3年後にはその価値観も変わっている・・・かもしれない
なお、一点注意しておいてほしいのは転職後に価値観が変わることは往々にしてあるということです。
私の場合、転職したとにには「お金よりもやりがい!」「市場価値の高いスキルと経験!」といった意識の方が強くありましたがアラサーになると一気に考えが変わります。
私の価値観の変化は以下の記事にも記載しています。
特に有名大学を出ていたりすると、周りの友人は有名企業の中で給与が上がってきたり、ある程度経済的に安定してきて結婚したりと、付き合いのある人たちとの差が気になるようになります。
このようなことになることを想定した上で、2~3歳上の人に価値観がどのように変化したかなどを聞いておくと良いかと思います。
また、価値観の変化に備えてリスクヘッジの策を準備しておくことも大切です。リスクヘッジの策は後ほどお伝えします。
注意点3.会社の財務状況、倒産リスクを確認しておく
官報での財務状況確認は必須
転職する以上、転職先の会社が今後も存続できそうかどうかはしっかりと調べる必要があります。
財務的に安定感のある会社かは必須確認事項です。
勿論会社によっては赤字の会社もあって、そのうえでビジョンや目指す世界観に共感して転職するのも個々人の価値観によってはアリだとは思います。
しかしながら経営状態を調べずにビジョンへの共感だけで転職するようではリスクが大きすぎますし、そもそも財務状況すら調べようとしない程度の気持ちで、本当にその会社と一緒に突き進む覚悟があるかは疑問に思います。
ベンチャー企業で事業を推進するのはそんなに甘いものじゃないですからね。
ベンチャー企業の簡単な財務状況はこちらの官報ブログで確認することができます。
全ての企業を網羅しているわけではないですが、調べる価値はあるので、興味のある会社の業績は調べてみましょう。
注意点4.事業の成長性を確認しておく
市場環境の確認
会社の財務状況と合わせて確認するべきなのが、おこなっている事業の市場環境です。
事業によっては法規制に影響を受けるものなどもあります。
ちょっと前だと民泊法案の影響で、民泊事業の拡大を狙っていた企業は大打撃を受けましたね。
扱うプロダクトによってはこのような市場の変化をもろに受けて一気に業績が悪化する可能性もあります。
事業ポートフォリオとそれら事業に関わる市場環境は事前に調査しておきましょう。
市場調査の仕方については以下の記事で簡単にまとめてあるので参考にしてください。
競合プロダクトの確認
事業の市場環境を確認したら、今度は競合プロダクトについても調べましょう。
これは転職の面接の際に聞くと良いかと思います。
できれば事前に競合になりそうなプロダクトを調べておいて、差別化ポイントなどを聞き出しておきましょう。
実際に会社に入って仕事を進めていくと自社プロダクトを信じられないとメンタル的にきつくなります。
特に他社製品と比較して何が良いのかと顧客から問われたときに自社製品の良さに自信を持てないと「お客さんをだましている」という感情になり兼ねません。
楽しく仕事をするうえでもこちらの確認は怠らないようにしましょう。
ビジネスモデルの確認
また、事業の成長性を理解するうえではビジネスモデルの確認も必須です。
例えば扱う事業が労働集約型の事業か、資本(資産)集約型の事業化によっても利益構造が異なりますし、成長性も異なります。
基本的には資産集約型の事業の方が人件費を抑えたまま売上を上げることができるので、効率的に稼ぐことができます。例えばオンラインゲームなど資産集約型の事業で、一度作ってしまえばそれほど人件費をかけずにゲームが勝手に稼いでくれます。事業としては非常に効率の良いモデルです。
会社が従業員への還元をメインに置くようであれば、給与はぐんぐんと伸びていく可能性があります。(利益の使い道は経営者の判断によりますが)
一方で労働集約型の事業の場合は事業の拡大をするために人員を拡大する必要があります。そうすると利益率も基本的には一定で、従業員給与も中々上げにくいです。特殊な専門性を持った人材を集め、高付加価値なサービスを提供できるのであれば給与は高くなりますが、人が動かないと利益はでない構造になっています。
コンサル業などは労働集約型事業の代表です。一人の出せる利益というのはほとんど決まっています。年収を上げるには労働価値を高めるしかありません。
一見資本集約型の方が良いように見えますが、労働集約型事業の場合、会社の成長と共にマネジメント層が多く必要になるという傾向もあります。マネジメント経験を積みたいなどの想いがあれば労働集約型事業の方が可能性は高いかもしれません。
ビジネスモデルは色々な角度からその特徴を分析することができますが、自分の得たい経験ができるビジネスかどうかは事前に確認しておきましょう。
注意点5.会社規模ごとの違いを認識する
企業規模ごとに働く環境は結構異なる
ベンチャー企業と一口に言っても企業ごとに環境も異なります。
もちろん働く会社の文化、ビジネスモデルによって環境は様々なのですが、企業規模によってある程度働く環境を予測することも可能です。
長文になるため以下の記事のまとめを確認してもらえればと思いますが、基本的に小さい規模の会社(いわゆるスタートアップに近い状態の会社)ほど働く環境はカオスになりがちです。
注意点6.ミッションへの共感度は高いか
ミッションに共感しないと働くのがつらくなる
どの会社でも企業理念やミッションといったものがありますが、ベンチャー企業の場合、そのミッションを意識する機会が非常に多いです。
ある施策を打ち出すことを検討する場合も、その組織の理念やミッションに立ち返って考えるということは良くあります。
大手だと形骸化した企業ミッションとなっていることも多いのですが、ベンチャー企業で働く場合はむしろミッションありきで働くことになります。
このミッションに共感が持てないと会社の進む方向と個人の想いとのギャップが大きくなってしまうのでメンタル的にきつくなると思います。
HP等から簡単に確認できる内容なので事前に確認しておきましょう。
※ちなみに、きちんと機能しているかを確認することも重要です。
社会的な意義があると心の支えになる
また、ベンチャー企業の多くは何らかの社会課題、事業課題を解決するために事業をおこなっていることが多いので、そのような意義の元働いているという実感を持てると辛いときも踏ん張れたりします。
これは個々人の価値観にもよりますが、売上を上げるためだけに働くというよりも、社会課題解決のために働いているという方がモチベーションになると思います。
反対に、一部証券会社で金融商品を売っている人の中にはお客さんを騙すような商品を売っていることや社会に何も生み出せていないのではないかという悩みからメンタルをやられてしまうといった話も聞きます・・・
事業のミッションに社会的な意義はあるのか。立ち返った時に、その社会的意義のために踏ん張れそうか、といったことは確認しておくとよいでしょう。
注意点7.社長の志向性を理解しているか
ベンチャー企業は会社の規模が小さいことが多く、社長の器やセンス、志向性が如実に事業の結果に現れてきます。
また、社長とも近くで働くことになるので社長の人柄を理解しておくことも重要です。
HPで確認
最も手軽な方法は企業HPで社長のメッセージ等を確認する方法です。
ここら辺は当然のようにやっておいてください。ちなみに最低限社長の写真があるかは確認する様にしましょう。
社長が顔出しする覚悟があるかというのは事業にプライドを持っているか、やましいことはないかを判断するうえで結構重要です。
twitterで確認
最近の経営者はtwitterでも情報発信していることが多いです。
twitterを見て、過去ツイートも確認するとこれまでの事業の拡大傾向や事業にかける想いも見えることがあります。
どのような考えを持った人か触れるには良いツールだと思います。
ネット記事や雑誌記事での確認
ある程度メディアに露出している企業であれば、ネットで検索するとインタビュー記事等も確認できます。
最近ではnewspicksで特集が組まれている経営者などもいるので、情報収集のための登録しておくと良いかと思います。(ベンチャー界隈の情報も多いのでおススメ)
また、wantedlyという媒体でも経営者がブログで発信している情報を確認することができます。
こちらも登録しておくと様々なベンチャー企業の情報が閲覧できます。各社がおこなうmeet upイベントなどの情報も流れてくるのでおススメです。
注意点8.役員クラスのメンバーの経歴を確認する
経験豊富なメンバーがジョインしているか
こちらは個々人の価値観によるのですが、ある程度優秀なメンバーの元で働きたいという想いがあるのであれば経験豊富なメンバーがジョインしているか確認しておくと良いです。
HPやwantedlyを見れば役員クラスの情報は確認できると思うので、チェックしておきましょう。
一方でもし、自分のスキルに自信があって「俺がリードしたい!!」という気概がある人は、役員クラスのメンバーの経歴や実績を確認して、自分の方が良いパフォーマンスを出せそうか確認しておきましょう。
ただ、基本的に既存社員とうまくコミュニケーションをとって進められる人間でないと組織の崩壊を招くだけなので、謙虚な心は忘れずにいてほしいと思います。
幹部が優秀すぎる場合は諸刃の剣
ちなみに幹部社員が優秀すぎる場合、その人たちの下で良い経験は積めるかもしれませんが、自分の出世の可能性が低いということも理解しておいてください。
優秀な人材が多い場合は、当然のことながらそれだけ出世競争は激しくなります。
良いポジションを狙いたいという場合は優秀な社員が既にジョインしていることがリスクになりうるので注意しましょう。
注意点9.中途採用で募集されているポジションの確認
幹部社員クラスを中途で採用していないか
役職のある社員を外部から登用しようとしている場合、内部から出世というパターンが少ない可能性があります。
特に社員数が200名程度のベンチャーへ転職する場合は、幹部社員が内部登用か外部登用かは確認しておくとよいでしょう。
これを事前に確認するには転職サイトに登録しておき、どのような求人が出ているかを確認することです。
社員数が既にある程度いるにもかかわらず、幹部社員を募集するような求人が出ている場合、たたき上げの社員を幹部に据える文化よりも外部から人を引っ張ってくる文化が強い可能性があります。
外部から登用が多そうであれば出世できる可能性も低いので、出世できない場合の撤退戦略も事前にしっかりと練ることをおススメします。
注意点10.転職失敗時にも戻れるように道を確保しておく
では具体的な撤退戦略にはどのようなものがあるかについてです。
リファラル採用をしている会社への人脈はないか確認しておく
最近ではリファラル採用という紹介制度を導入している会社が多くあります。
例えばアクセンチュア、ソフトバンクなどといった会社がリファラル採用を導入しています。
少し規模を小さくすると、メルカリ、カヤックなどもリファラル採用を強化しているようなので、このような会社に勤めている友人がいないかは事前に確認しておきましょう。
最悪の場合はその友人に甘えるのもありかと思います。
自社がカムバック制度を導入していないか確認しておく
また、最近では働き方改革の一環としてカムバック制度を導入している会社も多いです。
例を挙げると、富士通、富士ゼロックス、パナソニック、三菱ケミカルといった名のある企業がこの制度を導入しているようです。
これらの企業に所属している人は正直リスクフリーでベンチャーへの転職権利が与えられたようなものだと思います。(羨ましい)
退職時に円満退社を心がけること、しっかりと同僚から信頼を得られる仕事をすることを意識しましょう。
※各社の精度詳細は各々で確認してください
そもそも自社からの派遣制度はないか確認しておく
また、企業によってはベンチャー企業へのレンタル移籍制度を導入している会社もあります。
NTT西日本、日本郵便、大鵬薬品、トレンドマイクロなどの大手企業も利用しているようなので、自社でそのような制度が無いか確認すると良いでしょう。
※新しい制度なので、上司も知らない可能性が高いです。人事部に直接確認すると良いかと思います。
注意点11.転職先の直属の上司、同僚と面談を設定する
一緒に仕事をするメンバーや上司を信頼できるかが大切
基本的に転職、中途採用の場合は自分の上司になるメンバーが面接をしてくれるパターンが多いですが、念のため自分の直属の上司が誰になるかは確認しておいてください。
どんなに社長の人柄や会社のミッションに共感しても一緒に働くメンバー、特に上につく人との相性が悪いと働くのはかなりしんどくなります。
私の知り合いにも社長は部長クラスとの面接がすごく良くて、安心して入社したものの直属の上司との相性が悪くて会社を辞めてしまった人がいます。(新卒で勤めた大手時代の話です)
内定をもらった後でも、面談を設定してもらうことはできると思うので、同僚との面談や直属の上司との面談を遠慮せずにお願いしましょう。
注意点12.上司が退職するリスクも考慮する
ベンチャー企業は人材流動性が高いことは頭に入れておく
ベンチャー企業は大手企業に比べて人材流動性が高いです。
そのため、仮に尊敬する上司がいて入社を決めたとしても、その上司が転職してしまう可能性もあります。
そのため、注意点6でお伝えしたミッションへの共感度や注意点11でお伝えした同僚との相性が非常に重要なります。
人だけで選ぶと危険なので、複合的に判断する様にしましょう。
注意点13.上場(IPO)準備企業かどうかの確認
上場準備中は給与が上がらない可能性があるが耐えられるか
ベンチャー企業は上場を目指している会社も多くあります。
上場準備中!!と聞くとテンションが上がる人も多いかもしれませんが、本当に上場準備を進めている会社では業績を良く見せるために固定費をできる限り抑えようというインセンティブが働きます。
そうすると人件費も抑えがちになるので、最悪の場合ある一定期間は年収が上がらない可能性が高くなります。
社長のタイプにもよるのですが、基本的には上場時の企業価値を高めたいというのが通常なので給与は抑えて利益率を高めたいと思うのは良くある話です。
そのような状況に耐えられるかも理解した上で転職を検討しましょう。
ストックオプションはもらえそうか
上場準備と聞くとストックオプションを貰えるのではと期待する人も多いと思います。
しかし、残念ながら基本的にはかなり序盤のフェーズで入社するか、ヘッドハントされるなどの経歴でないとストックオプションを貰うのは難しいかと思います。
ここら辺は社長の志向によるので雇用条件などはしっかりと確認し、ストックオプションに関しての記載がない場合は過度に期待するのはやめておきましょう。
ストックオプションについて聞くのは自由ですが、あまり良い印象にはならないかと思います。
そもそも本当にIPOを目指しているか
IPOという言葉は華やかな印象を持たせることができるため、求人情報をみると、結構多くの企業がこの言葉をうたい文句にしています。
一方で、本当に上場を狙っている会社かは外からはあまり分かりません。
一応、「広報IR部門の強化」「財務部門の強化」など、参考になると言われている情報はありますが、素人目には判断が付きづらいと思います。
仮に本当に上場準備中だとしても、監査対応で最低でも3期は必要になります。
仮に上場承認が降りなければ、また一からやり直しです。
上場準備中だから入社したい!!というのは結構危険な判断なので、上場準備という言葉にひかれたという方は、一旦冷静になると良いかと思います。
注意点14.口コミサイトにおける評価の確認
vorkers、転職会議などのサイトは登録必須
働く社員のリアルな声を確認するには口コミサイトの情報は精度が高くおススメです。
※ベンチャー企業の場合、従業員数も少なく情報量は少ないですが・・・
ただし、ベンチャー企業の場合は半年もあれば大きく状況が変わるのでその点は理解しておきましょう。
例えば半年前にネガティブな書き込みが集中していて、今はほとんど書き込みが無いということであれば社内環境が改善されているといった可能性は高いです。
面接の前に調べておいて、逆質問を活用し、「最近社内環境の整備などで意識している点はあるか、改善した点はあるか」といったことを聞くのも良いかと思います。
注意点15.オフィスの雰囲気を確認する
オフィスの雰囲気は誤魔化せない
社員の雰囲気や企業文化は実際に働いている環境に現れます。
面接やHPでどんなに良いことを言っていても職場に出ている雰囲気は誤魔化せません。
ベンチャーだと割とラフに教えてくれることが多いので、面接の後などにオフィスの雰囲気を見れないか確認してみると良いと思います。
ちなみに私は社員が働いている雰囲気も見せてもらい、その雰囲気も求めている雰囲気に近かったので入社しようと決めました。
(大企業だとセキュリティの観点で中を社内の雰囲気を見れないことが多いのはちょっと残念です・・・)
注意点16.給与や福利厚生制度は細かく確認する
退職金や社会保険を考慮した場合に、給与の差はどの程度あるか
ベンチャー企業は一見手取り給与が高く見えることがあります。
しかし、住宅補助や退職金などを考慮すると激減していることもザラにあります。
※ベンチャー企業だと退職金制度が無いことも多いですし、企業型の確定拠出年金なども無いことが多いです。
特にサラリーマンをしていると手取り金額だけで比較してしまうことが多いですが、大企業だと退職金や企業年金など、今は受け取れていないものの将来的に受け取れるお金というものも多く存在します。
手取りばかりに気を取られていると大損しかねないので、改めて現在勤めている会社の給与制度等は確認しておきましょう。
お金じゃなくてやりがい!!と考えている人もいるかと思いますが、どのような差があるのを知っておくこと自体大切なことなのでこの機会に調べると良いです。(数年後に価値観が変わっている可能性もありますからね。今のうちに調べられることは調べておきましょう)
また、スタートアップなどの規模だと社会保険も無かったといったことにもなり兼ねませんのでしっかりと雇用契約書で確認してください。
ベンチャー企業への転職を成功させるには
転職の成功というのはなかなか定義しにくいので一概に語ることは難しいですが、自分の求めるものを明確にし、転職先に求める環境があるかを徹底的に調べることが最重要だと思います。
常に情報を仕入れるチャネルを作っておく
基本的にはこれまでお伝えした注意点を意識して、納得感をもてれば転職の失敗は少ないと思います。
ただし、特にベンチャー企業の状況は目まぐるしく変わるため、常に最新の情報を得られるように環境を整えることが重要です。
今は転職が当たり前の時代ですから、ご自身のキャリアを能動的に構築するためにも本来であれば新卒で入社した日に複数の転職サイトに登録して情報収集はしておくべきだとは思いますが、まだそのようなアクションを取れていないようであれば今日からでも動き出すことをおススメします。
wantedly、キャリトレ、Ambi、リクナビ、マイナビ、転職会議あたりは直ぐにでも登録しておき、気になる企業があれば上でお伝えした内容を調べましょう。
また、今すぐの転職を考えていない場合でも、求人内容の変化に意識を向けることで、市場に求められている人材や、特定の会社の成長度合いも見えてきます。
変化の多い時代に漠然と仕事をこなしているだけだといつの間にか市場に求められない人材になり兼ねません。
転職サイトに登録しておくと世の中にどのような仕事があるのかだったり、興味のある仕事に就くために必要なスキルだったりを確認することができます。
たまに、〇〇といった仕事をしたい!といった希望を持っているのに、どのようなスキルを持っていて、どのようなキャリアルートを辿れば希望の仕事ができるかまでは理解していない人がいます。
転職サイトに登録するだけで得られる情報なのに、それをしないがために自分でキャリアの幅を狭めている人を見るととても残念に思います。
自分のキャリアは自分で作るという意識を持って、積極的に情報は集めてほしいと思います。
転職エージェントも味方につけておく
また、すでに社会人になって2年以上が経過しているのにキャリアやスキルの棚卸をしたことが無い人は結構危険な状況なので転職エージェントに相談して、キャリアの棚卸をして自分の市場価値を冷静に見ることをおススメします。
たいした仕事をしていないしエージェントに話に行くのは恥ずかしいと思う人もいるかもしれませんが、外の人から見ると貴重な経験をしているということが結構あります。
あなたが今所属している組織での当たり前は、外に出ると貴重な経験かもしれません。
また、エージェントは転職者の経験をヒアリングしながらスキルやキャリアを整理するのがとても上手なので早い段階で相談することをおススメします。
私も自分の経験に自信が無かった人間ですが、エージェントに相談することで自分のスキルを認識し、自信を持つことができました。
キャリアの早い時期に味方になるエージェントをつけておくと今後のキャリア形成の上で有利になります。
ベンチャー企業への転職に興味を持っている場合
実際にベンチャー企業への転職を検討していて、すぐにでも動き出したい方は以下の記事を参考にしてエージェントを上手く活用してください。
給与交渉なども協力してくれるのでうまく味方に付けましょう。
なお、エージェントさんも人間なので良いサービスを受けるには傲慢にならずに話すことが大切です。
良いサービスを受けるために、エージェントさんの気持ちも考慮して動くようにしましょう。
大手企業に勤めている方の中には勘違いして傲慢にふるまう方も多いと聞くので、そうならないように注意してください。
この人のキャリア構築を支援してあげたい!!と思わせることも大切です。
仮に転職に失敗してもリカバリはできる!気負いすぎない!
特に、初めて転職をする人は失敗したらどうしようという不安が強いかもしれません。(実際私もビビってました(笑))
ただ、今の時代は転職も割と受け入れられていますし、そこまでビビる必要はありません。
上でもお伝えしていますが、仮に転職に失敗した場合もリスクヘッジのための戦略を練れていればいくらでもリカバリできます。
特に20代である程度の学歴(MARCH以上なら余裕)、社歴があればいくらでもリカバリは可能です。
私はベンチャー企業に転職し1年で退職しブランクのある状態で大手シンクタンクへ転職しています。
実は他にも日系の大手企業に入る道も約束されていました。
一度ベンチャー企業に行ったら後戻りはできないというのはすでに過去のものです。むしろベンチャー企業で当事者意識を持って働けるバイタリティのある若手社員を求める大手企業も増えてきているようです。
個人的にはベンチャー企業への転職も恐れずに、自分の意思でキャリアを作る人が増えてほしいと思っています。
まとめ
私は20代で2度転職して、大手事業会社、ベンチャー企業、大手シンクタンクファームでのコンサルタントとしての働き方を経験しています。
それぞれで働き方は異なりますが、どの企業への転職においても今回お伝えした内容を意識できていれば転職における失敗はほとんど有り得ないと思っています。
今回の記事が転職に悩んでいる人、迷っている人の参考になれば幸いです。
さいごにおまけ
自らの意思でキャリアを作る人が求められる時代
ある日系大手企業の面接の際には50代役員の方から「これからの時代はあなたのように自分でキャリアを作っていく人が社会を作っていくようになる。会社もチャレンジングなマインドを持った人を求めている」といった言葉ももらいました。
正直なところ50代の方からこのようなコメントを貰うとは思っていなかったのですが、間違いなく世の中の意識も変わってきています。
受け身でキャリアを構築している人間が不利になる時代に変わってきたと考えてよいでしょう。
ひとつの会社で耐えた人が偉いという文化はすでに廃れてきています。転職という手段を取ってでもスキルを身に付けた人間、チャレンジするマインドを持った人間が評価される時代に変わってきています。
一昔前の常識を捨てて、よりよいキャリアをつくる人が増えることを願っています。